制作者の「3ある」、ユーザーの「3ない」


先日社内勉強会にてお話させていただきました。

テーマはユーザビリテイです。

web標準が制作業界に定着し、我が社でもユーザビリティという言葉を聞く機会がふえてきました。にも関わらずそのユーザビリティ議論は自分が使いにくかったことに起因していたり、偉い人の鶴の一声で進んでるような案件が目につきます。それユーザーのこと考えてないよねと問いただしたくなったわけですね。そこで「それ、誰のためのユーザビリティ?」という発表をさせていただきました。

我々制作者と、ユーザーとの間には決定的な溝がある!ということで“制作者の「3ある」、ユーザーの「3ない」”としてまとめてみました。

制作者の「3ある」

まずは制作者が持っている3つの特徴を紹介します。業界人なら共感できることうけあいのまさにあるあるネタですねw

欲望がある

制作者は欲深いです。
一ページの中に情報をつめこんでおけば、ユーザーはすべて目を通してくれると思っています。また、ユーザーには全く関係ない社内方針や社長など富裕層の要望などすべてを盛り込もうとします。

知識がある

制作者はプロです。
ナビゲーション構造や、リンクのありか、ここはAJAXだからページ遷移しないとかここは別ウィンドウで開くとか…サイト内の仕様を熟知しています。技術的な知識も当然豊富に持っています。

愛着がある

制作者はうぬぼれています。
クールなデザイン、スマートなコード、魅惑のライティング、空気のような仕様…サイトのなかにはたくさんの思いでと、あたかも長年住み慣れた実家のような愛着がそこにはあります。

ユーザーの「3ない」

それに対してユーザーが持っていないものを3つ紹介します。制作者が持っているものと完全にずれてますね。

読まない

ユーザーはページ内の文章を読んではくれません。
自分の興味があるキーワードを拾い読みするだけです。文章が多いだけで嫌気がさしますし、それっぽいだけで違うリンクをクリックもします。そこに情報がみつからなければすぐ帰りますし、すべての情報があっても満足して帰っていきます。

知らない

ユーザーはサイトの仕様を知りません。
どこに何があるのか、そのリンクがjavascriptで開くのか別ウィンドウなのかも知りませんし、そういう場合でも戻るボタンで戻れると思っています。いちいち考えることもしませんしそもそも考えたくありません。

興味ない

ユーザーはサイトそのものに興味がありません。
興味があるのはサイトにある情報と、それを手に入れた後の自分の生活です。デザインなんかこれっぽっちも見ていないですし、覚えてもいません。最近リニューアルしたyoutubegoogleのリニューアル前がどんなデザインだったか絵に描ける人が何人いるでしょうか?おそらく多くの人は動画や検索することが目的であり、それ以外は全く見ていません。

じゃー制作者はどうしたらいいのか

制作者の「3ある」とユーザーの「3ない」の間には埋めがたい溝があります。「3ある」を常に意識して抑制せよ!というのはブッダの教えレベルの話で悟りを開く必要がありますw(そういうアプローチも面白いですがw)

なのでまずはユーザーを知ることから始めてはいかがでしょうか?
幸いにしてwebサイトはアクセス解析によってある程度、ユーザー像と動きを知ることができます。すべての中心に客観的なデータを持ってくることで自然と「3ある」は抑制できると思います。また、家族や友人レベルで良いのでユーザーテストをしてみるのも良いかもしれません。ちなみにうちの母親でテストをした結果、デスクトップの左上にあるマークがインターネットという覚え方をしてましたwこの場所からアイコンが移動しただけでわからなくなるそうです。こんなレベルでもmixiを使ってブログを書いていたりyoutubeを楽しんだりしています。webありきの世界になっている中で私たち業界人はもっと謙虚になるべきなんでしょうね。

「3ある」を抑えて「3ない」を知る。
ユーザビリティを考える大前提として肝に命じておくべき知識です。